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2008-06

門丸トオルの「ロケ地紀行・上田編」 4

 上田に有名な廃校がある。ここは、かの名監督・小津安二郎が、トーキー第一作「一人息子」をロケしたことで多くの映画ファンに知られている。小津は、サイレントで数々の名作を世に送り出していたが、いかに小津らしいトーキーを手がけるか悩み、後に「小津アングル」として多くのキャメラマンたちが腰を痛めた独特のスタイルを確立した。「一人息子」には、小津映画の見所が随所に散見でき、ここから数々の名作に展開されていった雛形が見て取れる。

旧西塩田小学校

 「一人息子」の冒頭に登場するのが、旧西塩田小学校の南校舎とその後ろに聳える信仰の山・独鈷山である。現在の校庭よりやや外側にカメラを設置したであろうシーンが、今でもその場所から変らぬ姿を見せている。それは、懐かしく、深い情感に溢れた小津映画そのもののようだ。上田を訪れる映画監督の中には、稲穂が揺れる塩田平の田園とこの学校の風景に惹かれて、自らここをロケ地に加える人もいるという。日本の映像遺産の一つなのだろう。

 旧西塩田小学校は、学校としての永い使命を終えて廃校になってからも、最近は「卓球温泉」「学校の怪談4」「ZERO」「DEEN主演・君のままで」などの映画や「ヒロシマ1945」や各種ミステリードラマ、「裸の大将」の新作など、多くの作品の舞台になって全国に感動を与えるシーンを刻んできた。

旧西塩田小学校 廊下

 この廃校が今、ロケ地として使えなくなっているという。とても残念なことである。日本映画の中に確実な足跡を残してきたこんなすばらしいロケ地がなくなってしまうことをこのまちの人たちは、どのように感じているのだろう。名作のロケ地でも、時流に流されてゆくのだろうか?

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